Leçon72 Bienvenu chez les Ch'tis
- Main Visual
- DIALOGUE
- MilaTu l’as vu le dernier film qui fait le buzz ?
- LucienNon, de quel film tu parles ?
- MilaTu sais, celui qui parle du Nord-Pas-de-Calais.
- LucienAh ≪ Bienvenu chez les Ch'tis ≫
- MilaAh oui, voilà, c’est ça. Tu l’as vu ? Il parait que c’est un film drôle.
- LucienNon, pas encore, je pense aller le voir ce weekend, veux-tu venir avec moi ?
- MilaPourquoi pas, mais j’ai peur de ne pas comprendre l’accent du Nord… Tu crois que le film va être sous-titré ?
- LucienDe toi à moi, entre l’accent chantant des Marseillais et le Ch’timi du nord, il va de toute façon falloir, pour beaucoup de français, des sous-titres…
- Mila Encore heureux que ce ne soit pas en Alsace, on aurait l’impression de regarder une émission culturelle d’Arte.
- LucienAh ah, ou encore en Bretagne avec TV Breizh. ≪ Donemat en Breizh ≫.
- MilaOula ! Je risque déjà d’avoir besoin de sous-titres pour le Ch’ti, commence pas à me parler en Breton !
- LucienAhah bon, on se dit samedi à 14h ?
- MilaOuai Ok.
- VOCABULAIRE
faire le buzz バズる(SNSやインターネットなどで情報が拡散されて急速に広まること) avoir peur de を怖がる、心配する
peur:(f) 恐怖、おそれ、心配sous-titré, -e (映画が)字幕付きの
sous-titre:(m) 字幕スーパーde toi à moi ここだけの話 Ch’timi (m) 北フランス出身の人々。北の訛り de toute façon いずれにせよ、とにかく avoir l’impression de ~のような気がする、~をする印象を持つ émission (f) 放送、番組 risquer de +inf. ~をするリスクがある。~をする危険性がある - POINT
- Encore heureux que ce ne soit pas en Alsace
アルザス地方で話されているアルザス語はアルザス・ドイツ語とも呼ばれ、フランス人にとってもまったく聴き取れないに等しい難しい方言のため、このように話されています。
Arte
1992年に開局した、ドイツとフランスの共同出資によるテレビ局。フランス語放送にはドイツ語の字幕、ドイツ語放送にはフランス語の字幕が振られている。
Donemat en Breizh ブルトン語で「ブルターニュへようこそ」 という意味。ブルトン語はブルターニュ地方で話されているケルト系の言語でブレイス語・ブルターニュ語とも言われます。
【コラム:フランスで観客動員数歴代第2位の大ヒット映画『Bienvenue Chez les Ch’tis(ようこそ、シュティの国へ)』 】
『Bienvenu chez les Ch'tis(邦題:ようこそ、シュティの国へ)』は、フランスで観客動員数2,000万人以上を超えた2008年公開の大ヒットコメディ映画です。
『アメリ』や『最強のふたり』をおさえて、フランス国内での歴代興行収入は1位のタイタニックに続く堂々の第2位、フランス映画としては歴代1位という作品です。
【ストーリー】
フランス南部の郵便局に勤めているフィリップは、妻のためにコート・ダジュールに転属してもらおうと試みるも見事に失敗し、なんとフランス北部のノール=パ=ド=カレ地方への赴任を命じられてしまいます。
北での生活が果たしてどんなものかを調べるものの、入ってくるのはネガティブな情報ばかり。結局フィリップは妻子を置いて、しぶしぶ単身赴任する事に。
赴任当初は北部の方言が全く分からず、同僚やお客さんとの意思疎通に苦労します。
しかし、最終的には美しい景観と人懐っこい部下達に囲まれて、北での生活がとても楽しくなっていく…。
映画のタイトルにもなっているch’tiは、c’est toi、ch’timiはc’est moiの意味で、第一次世界大戦中に、フランス北部から戦線に送られてきた兵士たちの«ch’ti? ch’timi?»という会話を耳に挟んだ他の兵士たちが彼らにつけたあだ名が、その由来だと言われているそうです。
この地方は以前炭坑で栄え、ポーランドやイタリアなどから多くの移民たちがやって来て辛い仕事に従事していました。しかしながら、最近は炭坑が閉鎖され、フランス人が「ch’ti」と聞いて頭に思い浮かべるのは、灰色の街、貧困、アル中、雨、風、寒さ、とネガティブな面ばかり。
自身も北部出身である本映画の監督であるダニー・ブーン(本作で主演も務める)は自らシナリオも担当し、この地方に生きている人たちのユーモアや厚い人情に脚光をあてることに成功しました。
映画の主人公であるフィリップのように、以前は北部に対してネガティブな印象を抱いていた人々は、この映画を通じて北部の魅力を感じるようになり、そのことが、自分たちの文化・言語に対する北部の人たちの誇りを取り戻させました。
映画自体の面白さは勿論のこと、上記の社会的な意義・貢献も、この映画が支持される一つの理由となっています。
これだけの大ヒット映画にも関わらず、南部に住む人の北部への偏見というフランスの社会的背景を理解していないといけなかったためか日本では当時未公開であまり世間には知られていないのが残念なところです。
AmazonなどでDVDやBlue-rayを購入できますが、残念ながら字幕は英語版などで日本語字幕はなく、また国内規格とも違いますので購入には注意が必要です。
それでもフランス文化についても学べる面白い作品ですのでぜひ機会があれば観てみてはいかがでしょうか。
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