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フランス語人材のキャリアパス~第3回 N.T. さん~

Coucou!
ケイです。

 

フランス語を使って仕事をしている方にインタビューをするという本企画。
今回で三回目となります。

この度は、東京都にお住まいのN.T.さん(仮名)です。
N.T.さんとは、N.T.さんのお仕事を通じて知り合いになり、今回のインタビュー企画へのご協力を(厚かましくも(笑))お願いしたところ、快く引き受けて下さいました!

 

① N.T.さんのプロフィール

N.T.さんは早稲田大学政治経済学部をご卒業。

後述しますが、フランス映画を見たことをきっかけにフランス語に目覚められ、フランス語は大学三年生の頃に始められたそうです。

 

元々西洋絵画がお好きであり、卒業後は学生の頃からアルバイトをしていた画廊に契約社員として就職。

4年半の間画廊に勤められた後、フランスのパリにて2年間の語学留学をご経験。

語学留学の際は、日仏文化協会( https://www.ccfj.com/ )で、留学に関するカウンセリングやアドバイスを受け、同時に語学学校やパリでの生活に関する情報収集もされたそうです。

 

当初は語学留学を終えたらすぐに帰国する予定でいましたが、「もっとフランスに居たい!」という想いから、Institut National des Langues et Civilisations Orientales(フランス国立東洋言語文化学院、通称INALCO:イナルコ)の日本語学科に入学し、日仏の文芸翻訳の勉強をされます。

5年かけてINALCOを卒業され(日本とフランスのダブルディグリーなんて羨ましい)、日本へ帰国。

 

帰国後は株式会社国際ビジネスサポート(官公庁主催の国際会議への通訳者派遣、及び企業における語学研修へ講師を派遣することを生業とする企業)に日仏翻訳者として登録。

実際は、企業主催の語学研修にフランス語講師として派遣されることとなり、フランス語講師を勤める傍ら、フランス留学経験を活かせる仕事は他にもあるだろうと考え、大使館、アンスティチュ・フランセ、大手フランス語学校、フランス商工会議所などの求人をチェックされていたそうです。

そして、1年半ほどフランス語講師として勤務されたのち、在日フランス大使館の募集要項に記載されていたお仕事に転職をされ、現在に至ります。

 

② 現在のお仕事

というわけで、N.T.さんは現在フランス政府系のお仕事につかれています。

具体的には、「日本におけるフランス留学経験者のネットワークを管理・運営・拡大していく業務」をご担当されています。

 

このフランス留学経験者のネットワークは全世界に広まっており、N.T.さんが担当されているのは、その内の1つである日本国内におけるフランス留学経験者のネットワークです。

 

N.T.さんから教えて頂いたのですが、「フランス語のように、政府主導で留学経験者のネットワークを作っている言語はあまりない」とのこと。

ざっと調べてみたのですが、確かにイギリス留学経験者とドイツ留学経験者のネットワークはあるものの、他の言語は見つかりませんでした。 

 

フランスはその文化政策において「フランス語を広めていく」ということも非常に重要視しています。

各国の言語政策の違いが、このような形で表れるというのは、非常に興味深いですね。


③ N.T.さんのフランス語の勉強方法

既に触れましたが、N.T.さんは大学三年生の頃にフランス語の勉強を始められました。

たまたま、何かの拍子でフランス映画を見ることがあり、その時に見たパリの町並み、音楽、男女の会話、人々の生活の様子、そしてフランス語の独特の音に一目惚れしてしまい、「フランス語を勉強しよう!」と思い立ちます。

 

大学付近にフランス人の方が運営している小さいフランス語教室があり、勢いで授業の申込みを完了。

全く予備知識なしに、ゼロからいきなりフランス語で発音・文法・会話を習い始めるなんて、 すごいですよね!

※ちなみに、習い始めてしばらく経った頃、「流石に文法は日本語で学びたい」ということで、文法の参考書は購入され、 東京日仏学院(現アンスティチュ・フランセ東京)にも通われたそうです。

 

その後めきめきと力をつけ、フランスへ語学留学に行かれ、さらにフランスの大学まで卒業されたN.T.さん。

ご自身の勉強法を、詳しく教えて下さいました。

 

【1】文法は駿河台出版の『新・リュミエール』(著 森本 英夫・三野 博司)で勉強。繰り返し、繰り返し読み込んだ。

書籍のURLはこちら http://www.e-surugadai.com/books/isbn978-4-411-00532-8 (現在は増補改訂版が出ています。)

【2】単語や用例は「例文帳」(表にフランス語、裏に日本語訳を記載)を自分で作成し、移動中にひらすら覚えた。

【3】フランス語で毎日日記を書いた。日記を書く際は、文章を破綻させないように、とりわけ時制に気をつけた。

【4】めんどくさがらないで、分からない言葉や文法事項は、一つ一つ辞書や参考書で調べる。

(調べる→覚える→忘れる→調べる→覚える→忘れる→・・・という作業を、地道に続けられたそうです。すごい!)

【5】外国人とペンフレンドになれるサイトを通じて、ネイティブと知り合いや友達になり、フランス語でメールのやりとりや話をする機会を積極的に作った。

 

以上の5つが、N.T.さんが取分け力を入れて取り組まれたことになります。

文法(文法の参考書)・単語(例文帳)・文章作成(日記)・読解(ネイティブとのメール)・会話(ネイティブとの会話)等、語学の習得に必要な要素が全て含まれていますね!

しかも、インプットだけでなくアウトプットの練習もふんだんに含まれている!

 

文法の学習(インプット)だけでなく、実際に文章を書いてみる(アウトプット)。

読解やリスニングの勉強(インプット)だけでなく、実際にネイティブと会話する(アウトプット)。

語学はインプットだけでなく、アウトプットも増やすことで、ぐんと力がつきます!

集団講義の受講や参考書、ラジオの流しっぱなし等、インプットは比較的簡単に増やすことができるのですが、講義中における発言、日記などの文章作成、ネイティブとの会話などのアウトプットは、意識的に取り組まないと中々機会を増やすことが出来ません。

是非ともアウトプットにも意識をおいて、勉強をしてみて下さいね!

 

④ 現在のお仕事で求められる、フランス語以外の能力

フランス政府系のお仕事をされていらっしゃるということもあり、当然同僚にはフランス人も多く、資料や会議もフランス語であることも多いため、フランス語能力は現在のN.T.さんのお仕事には必須です。

 

フランス語以外の能力としては、ネットワーク会員の方々を増やすため、並びに留学生ネットワークの会員の方々に充実したサービスを提供するために、SNS上やリアルの場でイベントを企画する必要があることから、イベント企画力や運営・実行力が必要。

 

企画したイベントをSNSやWeb上で広報する必要もあるため、広報の知識やWebサイト運営の知識も求められます。

 

フランス留学より帰国された方々を在日フランス企業とマッチングさせる機会も提供していることから、在日フランス商工会議所( https://www.ccifj.or.jp/ja.html )と共同でセミナーを実施することもあります。

その際は、お勤め先内では勿論、商工会議所のパートナーの方々と折衝し、スケジュールや意見を調整する能力も必要となります。

 

こうやって見てみると、フランス語能力だけでなく、実務に必要な能力も求められることがわかりますね。

後述しますが、フランスの企業は即戦力を求める傾向があり、実務経験や能力をとても重要視しています。

従って、フランス語を勉強すると同時に、現在皆さんが従事されていらっしゃるお仕事で出された成果や、仕事を通じて培われた実務経験は、「フランス企業」及び「フランス語を使う仕事」というチャンスが舞い込んで来た時に、極めて役に立ちます。

 

「大好きなフランス語を使えない仕事になんて、あんまりモチベーションがわかないな…」というお気持ちも、とてもよく分かります。

だって、僕がそうでしたから。

 

でも、あまり良い言い方ではないですが「履歴書を飾る」という意味合いも込めて、腐らず一生懸命に現在のお仕事に取組み、経験をつんで、能力を上げると共に成果を出して下さい。

それが結果として、「大好きなフランス語を使える仕事」への近道となるはずです。

 

⑤ フランコフォンの皆さんに一言

N.T.さんから皆さんに、3つのメッセージを頂きました。

一つ目のメッセージは、「在日フランス商工会議所のパートナー企業とのやり取りを通じて分かったことですが、彼らは即戦力を求めて採用活動を行っているので、新卒あるいは実務経験無しでフランス系の企業に就職をすることは難しいかも知れません。もしフランス系の企業への就職も視野に入れられているなら、転職も視野に入れて、長いスパンで考えた方が良いかも知れません」というメッセージ。

 

日本は新卒一括採用で、多くの研修やOJTを通じて時間をかけて手厚く社員を育てていくという傾向があります。

しかしながら、フランス企業の場合は実務経験の有無がとても重要視されます。これは、フランス国内においても同様です。

ですから、フランスの大学においては、無給であれ有給であれ、企業や行政機関等でインターンシップを試みる学生さんが非常に多いです。

※フランスのビジネススクールや国立・私立大学の経済系の学部においては、インターンシップがカリキュラムに含まれていたり、カリキュラムに含まれていなくても、単位として認定されるケースがほとんどです。

 

N.T.さんの上記のメッセージは、厳しい現実のようにも感じますが、普段から在日フランス商工会議所のパートナー企業の方々とやり取りをしているN.T.さんだからこそ得られた、非常に貴重な情報だと思います。

それを我々に惜しみなく開示して下さり、本当に有難い限りです。

 

2つめのメッセージは、『仮にこれまでフランス語を使う仕事に就いて居なかったとしても、何かの業務に長年携わってきた人には、その分野における実務経験と能力があります。それは、「フランス語を使う仕事に転職したい」と思った時に、本当に役に立ちます。フランス語を仕事で使いたいと思っている方は、「フランス語を使える仕事」にのみ価値を見出してしまうかも知れませんが、そんなことはありません。今従事されていらっしゃるお仕事での経験・スキルの積み重ねこそが、将来の皆さんを輝かせる糧となります。現在のお仕事に誇りを持って、「自分は夢に向かって真っ直ぐに進んでいるんだ!」と胸を張って頑張って下さい』という熱いエールでした。

 

日本においても、転職には即戦力が求められます。

そして新しい職場ですぐに活躍できるかどうかは、ご本人の生まれ持った能力は勿論ですが、その業界における(あるいは業界で活かせる)経験やスキルが大切になることは言うまでもありません。

 

僕は転職前も現職も営業職に就いており、前職は飛び込み営業中心のバリバリの国内営業、現在はメール重視の国際営業に変わっていますが、営業戦略の立て方や、提案を押タイミングと引くタイミング、そもそものベースとなる営業マインド(商品を売ろうとするのではなく、相手の役に立つ方法を考え、実行する)に至るまで、前職の経験は大いに活きています。

前職でも腐らずに一生懸命やってきたことが、今の仕事につながっているのは間違いありません。

 

最後のメッセージは、「今の職場の日本人やフランス人の同僚・上司もそうですし、最初に就職した画廊を辞めてフランスに長期で留学をした私もそうですが、世の中に本当に色々な人がいます。まさに、十人十色です。何か正解で、何が不正解かなんて、やってみなければ分かりません。自分の人生を信じて、好きなことに目一杯打ち込んで、後悔をしないようにしてください」という、フランスへの想いを貫いたN.T.さんらしいメッセージを頂きました。

 

N.T.さんの仰るとおり、何が正解なんて、本当に分かりません。

ただ、「本当はフランス語を使う仕事以外はしたくないけど、あんまりフランスに拘りすぎると、就職出来ないかも知れない」と、最初の就活の時に自分に嘘をついて守りに入った僕は、大いに失敗をしました。

その失敗を活かして、「今後は絶対にフランス語を使える仕事に就く!」と固い決心をして臨んだところ、人生が好転し、今の仕事に出会え、とても充実した生活を送れています。

 

だから、僕もN.T.さんのメッセージには大いに賛成です。

ご自身の人生を信じて、好きなことに目一杯打ち込んでいって下さい!

 

「フランス語人材のキャリアパス」は今後も続いて参ります。

楽しみにしていて下さいね!

 

À très bientôt
Kei

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